96. 駒込林町:三上参次邸宅跡(駒込大観音・御林稲荷周辺)

場 所:文京区千駄木5丁目13番地
交 通:営団地下鉄・南北線 本郷三丁目駅下車

周辺地図:

♪駒込には、駒込林町のほかにも旧町名として、駒込淺嘉町、駒込逢來町、駒込千駄木町、駒込坂下町、駒込動坂町、駒込片町、駒込曙町、駒込吉祥寺町、駒込富士前町、駒込上富士前町、駒込神明町などのよい名前がありました。戦後の都市開発などによって、これらの長く馴染んだ趣のある町名が、思い出のなかに消えています。

♪三上参次の住んだ駒込林町は、現在の住居表示では文京区千駄木5丁目となりました。邸宅は駒込林町169番地(現在の文京区千駄木5丁目13番地)にありました。

♪本郷通りの向丘二丁目交差点を不忍通りに繋がる団子坂方面に向かいます。駒込学園交差点の左に駒込大観音(こまごめおおがんのん)・光源寺があります。

♪駒込大観音は縁起によると大和国(奈良県)長谷寺(はせでら)本尊の十一面観音を模して元禄10年(1697)に建立されました。昭和20年(1945)5月25日の東京大空襲で消失しまたが、西山如雲によって製作され、平成5年(1993)5月18日に再興されています。戦前には、この境内に、樹齢300年を越すような梅の大木があったそうです。春になると梅の木に、鴬が飛び交い啼いていたことでしょう。長年、駒込に住んでいますが、今回、はじめて駒込大観音にお参りできました。これも「江戸東京」の散歩のお陰と感謝しています。(この駒込大観音の仏頭に関してはすげ替え事件も起こっています。)

東京新聞記事(仏頭すげ替え 著作権訴訟)(2010.3.26 朝刊)

 

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♪駒込学園(駒込中学校・駒込高等学校)を過ぎると、その並びに文明堂書店があります。その隣のリンデン六番館(マンション)の横の路地を入ると、突き当たりが御林稲荷社です。鉤の手になっている路地を道なりに行くと右手が三上参次の邸宅があった文京区千駄木5丁目13番地(旧駒込林町167番地)になります。

♪宇野彰男さん(三上参次曾孫)によると、三上参次は、この地に長男・勝が生れた翌年の明治20年(1887)(23歳)から75歳で亡くなる昭和14年(1939)6月7日まで50年余り住んだとのことです。敷地は600坪ほどもあったそうです。

♪邸宅の前には、明治時代から大正時代にかけて牧田牧場があって牛が放し飼いにされていました。いまでは、この界隈は庭などないような小さな家々が密集していて、邸宅があった面影は、感じられませんでした。

♪三上参次は、播磨国神東郡御立村みたちむら)(現・兵庫県姫路市船津町御立)の出身で、昭和9年(1934)9月9日に、郷里の御立村に「三上参次先生誕生之処」の碑が竣工しています。(参考文献2:)

♪また、神戸新聞によると、2019年11月23年、姫路市船津公園内に「三上参次顕彰碑」が建てられ、その除幕式が挙行されたとのことです。機会があったら訪ねてみたいと思います。

(参考文献)
 1)『明治時代の歴史学界 三上参次懐旧談』(三上参次著 吉川弘文館 1991)

2) 「三上参次先生のことども 没後80年」(三上参次顕彰会)(船津町社会教育協議会 平成31年1月)

兵庫県姫路市船津町周辺地図:

 

姫路文学館:(北館1階・文人展示室:三上参次)

(平成15年1月3日 記)(2020年6月2日 追記す)(2022年2月27日 追記)