41. 日本医師会館・文京グリーンコート:旧理化学研究所跡・東京府巣鴨病院跡

場  所:文京区本駒込2丁目(旧巣鴨駕籠町)

周辺地図:

♪JR駒込駅から本郷通りを東京大学方向に進むと、上富士前交差点で不忍通りにぶつかります。この上富士前交差点を右折して不忍通りに入ると、左側に文京区立昭和高齢者在宅サービスセンター、国立国会図書館支部東洋文庫(現・東洋文庫ミュージアム)、駒込警察署、日本医師会館、文京グリーンコート、都立小石川高校と続きます。

東洋文庫ミュージアム(平成29年12月撮影)
駒込警察署(平成29年12月撮影)
日本医師会館(平成29年12月撮影)
都立小石川中学校・高校の生垣(不忍通り側)(平成29年12月撮影)

♪不忍通りを挟んで右側には、六義園(りくぎえん)(柳沢吉保築園・回遊式山水庭園)と戦前からの高級住宅地である大和郷(やまとむら)があります。政治家の若槻礼次郎や東大医学部の外科教授の佐藤三吉邸も、この大和郷(やまとむら)にありました。普通、街角にある消火器をいれるケースは赤色ですが、大和郷会が設置しているものは、青色となっています。

大和郷区域図(昭和12年)(出典:『大和郷遠近物語』)(文献1)
昭和初期の染井橋(鉄道記録写真)

♪小津安二郎監督が昭和24年に制作した映画「晩春」(笹智衆、原節子出演)には、染井能楽堂(現在、染井能楽堂の舞台は横浜能楽堂に移築)で能を親子で鑑賞したあと、六義園横の大和郷の道を歩くシーンがでてきます。

♪日本医師会館が神田駿河台2丁目(旧神田駿河台鈴木町12番地)から、この本駒込の地に新築移転してきたのは平成2年(1990)2月24日・25日のことでした。(文献2)当時、この場所は、旧理化学研究所の跡地で、科研製薬の所有となっていました。

♪「江戸東京」で、榊俶の事跡を調べていて、都立小石川高校、文京グリーンコートのある旧岩槻街道(本郷通り)と中山道(旧白山通り)に挟まれた周辺一帯が、明治から大正のはじめまで東京府癲狂院(のち東京府巣鴨病院と改称)(明治19年6月21日新築)(旧小石川区巣鴨駕籠町から旧本郷区上富士前町)の敷地であったことがわかりました。『日本精神科医療史』(文献3)に「東京府巣鴨病院全図」が載っていますが、病院の構内には、樹木が多数あったようです。

東京府巣鴨病院略図(明治20年代)(出典:「我邦ニ於ケル精神病ニ関スル最近ノ施設」呉秀三著)
東京府巣鴨病院略図(明治30年頃(出典:「我邦ニ於ケル精神病ニ関スル最近ノ施設」呉秀三著))
東京府巣鴨病院略図(大正期)(出典:「我邦ニ於ケル精神病ニ関スル最近ノ施設」呉秀三著)(文献4)
東京府巣鴨病院門(複製絵葉書)
東京府巣鴨病院(東京帝国大学医科大学精神科教室)正門(絵葉書)(堀江幸司蔵)
東京府立巣鴨病院 左手の建物が精神科教室の臨床講堂(絵葉書)(堀江幸司蔵)
東京府立巣鴨病院のレンガ造りの病棟(絵葉書)(堀江幸司蔵)

♪自宅から、六義園の裏の道を通り、大和郷(やまとむら)を抜けて、不忍通り沿いの文京グリーンコート(高層オフィスビル・高層住宅・商業ビル)(平成9年10月竣工)前にでました。1階には、輸入雑貨の店、ブティックや書店などがあり、地下にはスーパー(大丸ピーコック)が入っています。アートグッズを扱っているお店(Za Gallery)はお気に入りです。

Peacock入口付近(平成29年12月撮影)

♪高層オフィスビルの周囲は散策できるようなっています。旧理化学研究所当時からの染井吉野桜や銀杏などの樹木の一部が残されています。ベンチの横に案内版が建てられていました。次回紹介します。

文京グリーン中庭(平成14年撮影)

文京グリーンコート

(平成14年11月20日記)

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♪文京グリーンコートのオフィスビルの不忍通りに面した部分には、銀杏などの樹木の間に小径がつくられ、旧理化学研究所の構内の面影を残しています。東京府巣鴨病院時代から、この辺りは樹木が多く、六義園とともに、本駒込の静寂な景観をつくっていました。

文京グリーン内の小径(1)(平成29年12月撮影)
文京グリーンコート内の小径(2)(平成29年12月撮影)

♪文京グリーンコートの裏手に、「理化学研究所駒込分所・理研OB会」の建物(旧43号館)があります。(現在は解体され別の建物が建っています)その隣が、広場になっていて、染井吉野桜の大木が残されています。オフィスビルとよく調和して、独特の環境をつくりだしています。

理化学研究所駒込分所跡(平成29年12月撮影) 
旧理化学研究所駒込分所跡の裏道(旧白山通りと旧岩槻街道とを繋ぐ道・相馬誠胤が逃走した道)

♪広場のベンチの横に、案内版が建てられていました。理化学研究所の歴史に触れていますので紹介しておきます。

文京グリーンコート中庭(平成14年撮影)

「~四季折々の彩り~ 理化学研究所(理研)の改組により、株式会社科学研究所(現・科研製薬)に受け継がれたこの敷地内には、さくら、いちょう、ヒマラヤ杉などが頭上高く生い茂っていた。樹々と赤煉瓦の建物が調和し、都会の中にありながら、アカデミックなたたずまいをかもしだしていた。そとの喧噪と違って閑静なところであり、春は桜花を愛で、新緑や黄葉など四季折々の彩りが楽しめ、人々の心を和ませていた。この広場のさくらやグリーンスクエアにあるいちょうなどは、理研設立当時の樹々を保存しており、時が流れた現在(いま)でも、自然に恵まれた環境をつくりだしている。」

 

参考ホームページ

日本医師会

理化学研究所の沿革

科研製薬の歴史

(平成14年11月26日記)

 

参考文献

1.『大和郷遠近物語 -大和郷会90年のあゆみー』(大和郷会 会史編纂委員会 平成27年)

2. 日本医師会雑誌 第103巻 第7号/平成2年4月1日(付録)(日本医師会新旧会館記録集)

3. 『日本精神科医療史』 岡田靖雄著、医学書院、2002.

4.『我邦ニ於ケル精神病ニ関スル最近ノ施設』(呉秀三著 大正)